Dolby Atmos・DTS:X

オブジェクト・オーディオ (イマーシブ・オーディオ) とは?

この記事を読む所要時間は3~4分です
最新の音声規格、ドルビーアトモス、DTS:Xの解説、アップミックスモード
設置例などを紹介しております。

 これらの規格はオブジェクト・オーディオやイマーシブ・オーディオと呼ばれます。イマーシブとは没入型という意味で、従来のチャンネルベースの音は平面的になってしまうところを天井にスピーカーを追加することで、他のチャンネルとのつながりをより自然にする考え方です、これにより立体的な音場を再現するということです。制作側にとってより体験型の音響システムということで、注目されています。家庭用フォーマットのチャンネル表記については、従来のフロアスピーカーの数を表す7.1などの表記の最後に追記する形で、天井スピーカーの数を示す。
7.1.4
7.1.2

DOLBY ATMOS(ドルビーアトモス)

・ドルビーラボラトリーズが開発した、音声フォーマット
・初採用作品は【メリダとおそろしの森】
・日本映画は初採用は【THE NEXT GENERATION パトレイバー」長編劇場版】とされる
https://www.phileweb.com/news/d-av/201402/07/34504.html
・従来のチャンネルベースが24チャンネル、天井用は10チャンネルと定義されており、スピーカー数も格段に多くなっています
・家庭用フォーマットは2014年に発表され、現状13チャンネルを使う7.2.4が最大級
・後位互換性を有しているので、 その環境に合わせて再生が可能

DTS:X

・DTS社が開発した、音声フォーマット
・ドルビーアトモスと概念はほぼ変わりませんが、音質の傾向は変わるようです
・後位互換性を有しているので、その環境に合わせて再生が可能
・天井スピーカーの設置について、厳格でなく導入がしやすい
 製作者はミックスの段階で音声のポジションを自由に作りこむことが可能

DTS:Xのスピーカーマネージメントは、音の割り当てを設定するための最大16の“ウェーブフォーム”と呼ばれる位置情報を決めるものと、別途2つの低域専用chで構成される。ウェーブフォームは「チャンネルのみ」「オブジェクトのみ」、あるいは「チャンネル+オブジェクト」の3種類を選択する。DTS:Xではオブジェクトオーディオは必須ではなく、チャンネルベースとオブジェクトベース、あるいはそのミックスも含めたどの手法でコンテンツをつくるかは、制作者によるので、DTS:Xはオブジェクトオーディオとは限らないということです。

アップミックスモード

 アップミックスモードとは、トップスピーカーを含めた、オブジェクトオーディオ対応環境において、従来の5.1chや7.1chのソースをドルビーアトモスやDTS:Xのように再生する機能です。

ドルビーサラウンドモード

 ドルビーが開発したアップミックスモードです。ひとつ前はドルビープロロジックⅡzやプロロジックⅡという機能でした。これは2chステレオを5.1や7.1に変換するものです。最新のこのモードは、なぜか公式サイトに載っていませんが、AVアンプのアップミックス機能の名称ではドルビーサラウンドとなっています。ドルビーサラウンドと言っても、従来の4chをステレオにミックスダウンしたドルビーサラウンドと混同しないように気を付けてください。

DTS Neural X

DTS社が開発したアップミックスモードです、ひとつ前はDTS NEO 6やNEO Xです。こちらもドルビープロロジックと同様に2chステレオを5.1や7.1に変換するものでした。

二つのモードの差異

では上記のドルビーサラウンドとNeural Xの差異はどのようなものでしょうか?機能的な位置づけはほぼ同じものですが、やはり音声処理には違いがあります。

・ドルビーサラウンド
音自体には変化は感じられません、トップスピーカーの割りふりは前後方のスピーカーと連動させ、位置情報を正確に再現しようとするようです。このため、フロントスピーカーやサラウンドスピーカーとのつながりが非常に大事になってきます。このモードを使う際はスピーカーは合わせておくのが無難でしょう。SF系、スター・ウォーズなどでは、空中戦の位置関係も重要なので、こちらのモードが適していると思います。空間再現力が向上します。

・DTS Neural X
音がほんの少しですが、厚みが出る感じがあります。ドルビーサラウンドと決定的に違うところは、トップスピーカーの比重が大きいところ。ドルビーサラウンドが前後方のスピーカーと連動して鳴らそうとするのに対し、真上からある程度の角度の音に関しては、すべてトップスピーカーに振るようです。そのため同じシーンでもドルビーサラウンドと比べると位置が変わります。トップスピーカー鳴ってます!!という感じを味わいたい場合や真上からのダイレクトな感じ、アクション物と相性がいいと思います。

イマーシブオーディオの一般的なスピーカー配置

下の図は 7.1.4と7.1.2の場合のスピーカーの配置図です。
 リスニングポジションを中心にフロアスピーカーが8つと天井スピーカー4本を取り付ける例です。
 イマーシブ・オーディオでは8本のフロアスピーカーと天井スピーカーから同時に音声を流すことで、XYZ軸に配置された音声を再現します。 これによりスピーカーの設置場所に関係なく、空間の中に音を出現させることができるので、方向感、立体感をより実世界に近く表現できます。
ドルビーアトモスの配置
https://www.dolby.com/jp/ja/guide/dolby-atmos-speaker-setup/index.html

天井スピーカーの(トップスピーカー)呼称について
前方はTF(トップフォーワード/フロント)
後方はTB(トップバックワード/バック)
中央はTM(トップミドル) ※7.1.2設置時に中央に配置した場合

 下の図はチャンネルベース8chと前面の天井にスピーカーを配置した例です。
数年前には各メーカーがドルビーアトモスやDTS:Xと同じような考えでDSP処理により、より立体的な音場を作り出すために、以下のような設置を提唱したことがありました。これを応用するという形です。
 天井スピーカーの位置は変わりますが、情報量の多い前方の音を拡大するという点では、コンセプトにあっています。たいていリスニングポジションの真上にスピーカーを配置するというのは、配線の面などから考えると非常に難しいので、こちらの配置のほうが、取り組みやすいと思います。
 前方だけでなく、後方スピーカー (SL・SR) 付近の高い位置にスピーカーを追加することで、7.1.4ch配置に近くなりますが、後方スピーカーは一般的に80~100cm程度の高さに設置するのが推奨されているので、すでに取り付けられている場合は既存スピーカーを流用し、スタンド設置で後方スピーカー(SL・SR)を配置すれば、対応ができます。

設置例

自宅の配置

私の自宅では、4.1chセンターレス配置にトップスピーカー2つを追加する形をとり4.1.2構成としています。天井が高いため、梁が2本ありましたのでそれを使用し、サラウンドスピーカー、トップミドルをつけました。トップスピーカー1組でもドルビーアトモスの必須レイアウトに合致しております。サラウンドの位置はやはり真横の方がいいのかもしれませんが、部屋が広いので、真横にした場合は音場の確保のため、スピーカーを増やさなければならず、現実的でないと思い、サラウンドバックに近い配置をとりましたが、そこまで音に違和感はありませんでした。UHDソフトレビューにて、アップミックス再生やアトモス、DTS:Xのソフト視聴記をつけておりますので、ぜひお読みください。

筆者宅の配置

まとめ

 イマーシブ・オーディオの考えは、以前からあり、音響メーカーが独自に提唱してきた経緯がありますが、それはあくまで受け手に対してのアプローチであり、制作者側に対してのアプローチではありませんでしたが、音響フォーマットを手がけるドルビーやDTS社が開発したことで、制作者側としても、イマーシブ・オーディオを利用して、作品に深みや面白さを提供し、付加価値をつけています。他にもAuro-3Dという規格がありますが、後に解説したいと思います。

・ドルビーアトモス/DTS:X共にコンセプトはほぼ同じ
・DTS:Xでは厳格なスピーカー配置は決めておらず、上に紹介した配置
 を参考に組んでいれば、問題なく再生が可能である
・ ドルビーアトモス/DTS:X共に後方互換性があるので、5.1ch・7.1chの環境でも、音声情報を失うことなく再生が可能
・トップスピーカーは音のつながりが非常に重要ですので、必ずサラウンドチャンネルと同一のスピーカーを選びましょう。
スピーカーの選択については以下の記事を参照してください。
https://build-good-sound.com/home-theater/speakers-2-2/